初めての投資信託〜世界中のあらゆる資産にカンタンに分散投資
投資信託・・・「興味はあるけど、よくわからない」「営業の人の勧める通りにやってみたけど、なかなか上手くいかない」。そんな方のために、基本からお伝えします。
1. 様々な資産への分散投資を可能にしてくれる投資信託
投資信託協会ホームページより
投資信託(略して投信)は通常1万円から購入できます。
人によって金額は様々で、
1万円コツコツ積み立てる人もいれば、一度に億円単位で投資する投資家もいます。
個人で買うこともできれば、法人で買うことも可能です。
図のように投資信託は、投資家の資金をまとめて、運用の専門家(委託会社)が、さまざまな投資対象に投資をする仕組みです。
投資信託のメリットは何と言っても簡単に分散投資ができるることです。
例えば株式の購入には1銘柄あたり数十万円かかることも多いので、多数の銘柄に分散投資しようとすると多額の資金が必要となります。
また、新興国の株式、原油、格付の低い債券など、個人投資家が購入するすることが難しい資産も数多く存在します。
投資信託を使えば例え少額の投資金額であったとしても、
様々な資産に投資すること可能なのです。
2. 投資信託選びは外食のお店選びのようなもの
さて、数多くの投信の中から、実際に投資する銘柄を選ぶ作業は、外食するときにお店を選ぶことと似ています。
和食、中華、イタリアンといったジャンルをまず決めて、それから具対的にお店を選ぶことでしょう。
そして、それぞれ専門家が腕を振るって調理しますが、美味しいかどうかは腕次第でしょう。
投資信託の場合も日本株、外国株、国内債券、海外債券、バランス型など、まずはジャンルを選びます。
例えば日本株投信を選び、数多くのなかから「日本成長株オープン」という名前の投信を100万円購入することにしたとしましょう。
この投信を販売している証券会社に証券口座があるか、銀行に投資信託口座があれば購入することができます。
無い場合は、まずは口座を開設しましょう!
投資信託は日々価格(基準価額といいます)が変動し、あなたの投じた100万円は日々増えたり減ったりしますが、投信は基本的には日々売買するような商品ではなく、
短くても数年間は運用を続けるつもりで始めるものです。
殆どの投信はオープン型といって、
休業日でなければいつでも購入できますし、
いつでも売却でき、満期などもありませんから、
十分に値上がりするまでじっくりと待つことになります。
想定より早く基準価額が上昇して嬉しくなることもあれば、
大きく値下がりして後悔することもあるかもしれません。
運用のプロに任せたからといって、必ずうまくいくとは限らないのです。
3. 投資信託のコスト(手数料)にはどのようなものがあるの?
投資信託にかかる費用も押さえておきましょう。
購入するとき
まず、買付する際に購入時手数料(販売手数料)がかかります。
買付代金の0〜3.5%(税込0〜3.85%)ほどです。
同じ投信でも販売金融機関によって異なることもあります。
この費用は投資信託の説明に対する対価とされています。
運用期間中
次に、投資している間は信託報酬がかかります。
より高い運用成果をめざすアクティブ型(後述)の平均では、
運用資産の金額に対して年率1.6%(税込1.76%)程度です。
日割りで引かれており、日々の基準価額に反映されます。
この費用は投資信託に関わる販売会社(証券会社や銀行など)、委託会社(運用会社)、受託会社(運用資産の管理をする信託銀行)に支払われます。
解約するとき
解約の際に解約手数料がかかる事は殆どありませんが、多くの投資信託で信託財産留保額がかかります。
これは投資している財産の換金などにかかる費用を
解約する投資家が負担する制度で、かかる場合は0.1%〜0.3%程度です。
しばしば誤解されますが、長期投資家にはむしろ有利なしくみです。
解約した他の投資家が少しずつ信託財産(ファンド)にお金を残していってくれるからです。
また、解約するときに利益が出ている場合は、利益に対して税金がかかります。
利益に対して20.315%で、預貯金の利息にかかる税金などと同じ税率です。
最近は手数料の引下げ競争も進みつつあります。
購入時の手数料にばかり目が行きがちですが、
長期投資に重要なのは、むしろ常にかかる信託報酬ですので、注目しましょう。
4. 投資信託の運用の上手・下手は「市場平均を上回るか・下回るか」
当然ながら、運用が上手い投資信託を選びたいですよね。
それでは、投信の運用が上手・下手とはどういうことなのでしょうか。
投資した100万円が結果的に増えていれば上手、
減っていれば下手という考え方は分かりやすいのですが、
資産運用の世界では「市場平均を上回るかどうか」で判断します。
多くの投資信託で、比較対象とする市場平均をベンチマークとして設定し、
運用実績がどの程度ベンチマークを上回ったか(下まわったか)を公表しています。
例えば日本株投信の場合、代表的な株価指数である「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」をベンチマークにします。
「プロが運用するのだから平均を上回るのなんて当然でしょう」と思われるかもしれませんが、
市場は寧ろプロとプロが戦う世界ですから、そうもいかないのです。
プロ野球でどの球団を応援するかに似ていますね。
運用の巧拙についてはその他にも色んな考え方があります(注1)が、
別の機会に譲ることとします。
(注1)代表的にはシャープレシオ(Sharpe Ratio)という指標があります。
リスクに対して、どれだけのリターンを稼いでいるかという考え方です。
5. アクティブファンドとインデックスファンド
5.1 より高い運用成果を目指すアクティブファンド
投資信託にはアクティブ型とパッシブ型(インデックス型)があります。
アクティブ型はより高い運用成果を求めて運用をします。
優秀な(つまり高給な)ファンドマネージャーを雇い、コストをかけてリサーチし、
有望な投資対象を探し当てて投資をしますので、それなりのコストがかかりますが、
市場平均を継続的に上回る成果を上げるアクティブファンドも存在します。
しかしながら、衝撃的なことに、多くの投信が市場平均を下回る成績しか上げることができていないのも事実なんです。その大きな原因は高コストにあるとも言われています。
また、上手なアクティブファンドを実際に選ぶのは難しいという問題もあります。
ある時点まで良いパフォーマンスを上げていたとしても、その後必ずしも高い成績をあげられないのです。
投資家からの立場からすると「アクティブファンドは手数料が高いから儲からないよ」ということになりがちです。
5.2 指数連動を目指すインデックスファンド
これに対してパッシブ型(インデックス型)は市場平均(ベンチマーク)に連動する運用成果を目指します。さまざまな指数に連動する投信があり、指数連動型などとも呼ばれます。
以下に主な指数の例を示しますが、世の中にはこの他にもさまざまな指数があり、
多くの種類のインデックス投信が販売されています。
インデックスファンドの場合、運用実績がベンチマークを上回ることを目指すのではなく、一致させることを目指すので、運用の成果がファンドマネージャーの銘柄選定能力に大きく左右されることはありません。
また、低コストでの運用が可能なため信託報酬が低いですし、購入時の手数料も無料(ノーロード)のものが増えてきました。
インデックスファンドであればどれでも大差ないように思われるかもしれませんが、
細かく見ていくと、ファンドによって当たり外れがありますので、次回以降にご案内したいと思います。